インディー・ミュージック好きが見たオススメ音楽映画10選

私はインディーと呼ばれる音楽が大好きです。
インディーの魅力は何といっても手作り感。なんでも手探りで、アイディアを振り絞って良いものをつくろうとするアティチュードに心を打たれるのです。

今回は、そんなインディー好きの私が見た、オススメの音楽映画をご紹介します!
どの映画もとってもクリエイティビティを刺激されます。

是非チェックしてみてください!

ラウダー・ザン・ユー・シンク
ギャリー・ヤングとペイヴメントの物語

Pavement結成の重要人物でありながら、1stアルバムリリース後に脱退してしまう破天荒ドラマー “ギャリー・ヤング” のドキュメンタリー。
この映画の中で、ギャリー・ヤングがもう一人のドラマー(?)のボブに「ドラムはなるべくでかい音で叩け」と教えるシーンがあり、Pavementのファンでありドラマーの端くれである私は、この教えを守っています。
酒やドラッグの問題がありバンドを離れる事になったが、ギャリーが演奏に集中している時のドラムは誰にもかなわなかったとペイヴメントのメンバーが当時を振り返るシーンはとても印象的でした。
とにかく目立ちたがりのギャリー・ヤング。ライブ中突然三転倒立をしたり、開演前、ライブハウスに並ぶファンに野菜を配りに行ったり(唯一ついてきたのはソニック・ユースのサーストン・ムーア)、キテレツなエピソードがたくさん。
映画のタイトルである「ラウダー・ザン・ユー・シンク」とは、ギャリーが経営していたスタジオの名前。
「あなたが思うよりもっとうるさく」という名前は、彼の生き様そのまま表しているようでした。
決して円満脱退ではありませんでしが、アルバムの売上はギャリーの生涯に渡って支払われ続けており、ギャリーとバンド双方にリスペクトが感じられて、さらにファンになりました。

アザー・ミュージック

アザーミュージックに行けば必ず新しい音楽に出会えると、音楽ファンから絶大な信頼を得ていたニューヨークの伝説的なレコード店が、2016年に惜しまれつつも閉店となってしまいます。
こんなにも愛されているのに閉店になってしまう、という現実の厳しさがとっても応えるドキュメンタリー映画でした。
新しい”別”の音楽を探求し続け、それをお客さんに熱を持って紹介する。シンプルな”ヲタクムーヴ”をしてくれるお店や店員さんって、そういえば今の時代あんまりないんじゃないか。
アザー・ミュージック公式HPに掲載されている松永良平さんのコラムがとっても良くて、何度も見に行っています。名盤レコードを探すのも楽しすぎるけど、今なお生まれ続ける新しい音楽を、ちゃんと現場で感じていたいなと強く思いました。

今でもレコード店に行けば、アザー・ミュージックのトートバッグを持っている人を見かけるほど、日本の音楽ファンにも愛され続けるレコード店のドキュメンタリー。
同じく愛されながらも閉店してしまった京都の映画館「京都みなみ会館」で見た思い出深い1本です。

ティーンエイジ・スーパースターズ

グラスゴーのインディー・ロックの歴史を語る映画。
パステルズ、ヴァセリンズ、BMXバンディッツ、ティーンエイジ・ファンクラブなどなど、我々インディー・キッズが大好きなバンドしか出てこない、これだけで最高の映画です。
この映画を観て思ったのは、53&3rd Recordsの主宰でパステルズのリーダー、スティーヴン・パステルの影響力の強さ。日本でもロリポップ・ソニックがが登場するなど、大きすぎる影響を与えました。
ちなみに、53&3rdのレーベル品番はAGARR~。
これは”As Good As Ramones Records (ラモーンズのレコードと同じくらい良い)”という意味が込められています。
映画の中ではソニック・ユースのサーストン・ムーアのインタビューがあったり、ナレーションはブリーダーズのキム・ディール。ニルヴァーナがライブでヴァセリンズのMolly’s Lipsを演奏し、ユージンがステージに乱入する映像が流れたり、グラスゴー勢とUS勢で互いに影響を与え合っていたことを感じることができます。

グラスゴー、いつか訪れてみたい町です。

ザ・スリッツ:ヒア・トゥ・ビー・ハード

“スリッツはロックで全てに反抗した。”
女性というだけで差別や偏見を受け、それに真っ向から抗ってきたザ・スリッツのドキュメンタリー映画。
90年代のRiot Grrrlムーブメントや、現在まで続くフェミニズム活動に大きな影響を与えたUKのパンク・バンド。
スリッツが貫いていたのは、女性らしさや男性らしさではなく、”自分らしくある”ということ。
彼女たちの活躍のおかげで、少しずつ、確実に良い時代に変わってきています。
だけど、まだまだ問題は山積みです。ホモソーシャルは音楽業界にも未だに蔓延っており、時に大きなニュースになったり、表面化されていない問題も多く存在しています。
そして、先人が積み上げてきたものを、簡単に壊してしまうような不安定な世界情勢。

スリッツが何に怒り、何と戦っていたのか。
今こそこの映画から学び、次の世代に繋いでいきたいです。

 

エレファント6レコーディング・カンパニー

Apples In Stereo、Neutral Milk Hotel、The Olivia Tremor Controlのメンバーが立ち上げた、90年代USインディー重要レーベル「Elephant 6」。
レーベル内ではバンドの垣根を超えメンバーが行き来し、誰がリードを取るかによってバンド名が変わる。
そんな不思議なコレクティブ集団とはいったい何だったのかに迫るドキュメンタリー映画。
この映画、そもそもは2019年に公開されていましたが、その公開方法が「返却必須、VHSオンリーのレンタルビデオ方式」。

レンタルのシステムはチャドがアメリカの主要都市のカフェやレコードショップに「Elephant 6 Video Rental Club」と書かれたフライヤーをランダムに設置。そのフライヤーに記載された電話番号に連絡すると自動応答でメッセージが流れるようになっており、観客は指定の私書箱宛てに「必ず返却します」と一言添えて手紙を郵送、後日ビデオテープが送られてきて観客は映画を鑑賞、その後指定の住所にビデオテープを返却する、という方法だ。

『エレファント6レコーディング・カンパニー』 チャド・ストックフレス監督 ケリー・ハート登壇 舞台挨拶報告レポート& 映画本編の貴重ライブ映像解禁

2019年の映画としては異常なシステム。結果としては100通の手紙が届き、「このシステムは成功した」と監督は語っています。
100通で成功?と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、まずこのチラシを見つけて、わざわざ電話して、手紙を書いて、VHSで再生して、返却する、それでも見たいと思って行動した人が100人もいるなんて、本当に凄いことです。

私も最近どうしても見たい映画があり、配信にはなかったためDVDをレンタルしました。
ジャンルから映画を探したり、気になる映画は既に借りられていたり、DVDの最初の20~30分くらいある広告をぼーっと観たり、、気付かないうちに何かとっても大きなものを失っていて、それを取り戻した気分になりました。

映画:フィッシュマンズ

2021年に公開された、フィッシュマンズのドキュメンタリー映画。
映画館を出た後はとっても暗い気持ちになりました。
フィッシュマンズ周辺の関係者たちのインタビューが次々と流れていきますが、佐藤氏の死に関しては、20年という月日が経っても、全員が未だに信じられないと語り、茂木さんを含め誰一人受け入れられている人はいないんだな、と感じました。

とてつもなく大きな穴がぽっかりと空いてしまい、それが20年の中で全く埋まっていない。
これがけっこうくらいました。
しかし、そんな一生乗り越えられない死と向き合いながら活動を続けるフィッシュマンズ。
フィッシュマンズがこれからどこに向かい、どこに辿り着くのか。
陰ながら見守っていきたいと思います。

ストップ・メイキング・センス

私は数年前に名古屋のセンチュリーシネマであった「スタンディング、声出しOK上映」で見ました。
その時の詳しい話はコチラにあるので是非!

言ってしまえばトーキング・ヘッズのライブを撮影しているのですが、じゃあなぜこれが”ライブ映像”ではなく映画たり得るのか。
見てもらえばすぐに分かるのだが、普通のバンドのライブとは一線を画している。それは、ものすごいお金をかけた大掛かりなステージではなく、アイディア満載のインディペンデントなステージ。

最初はデヴィッド・バーンが一人で登場し、少しずつメンバーが加わっていき、その間にもステージセットが次々と変化していく。単に曲を演奏しているのではなく、ビジュアルや演出面で常に色んな仕掛けがあり、映像作品として素晴らしい仕上がりになっているのです。
まるで、このステージのために作られた曲かのように、ビジュアルとサウンドをたっぷり楽しめることができます。

ダイナソーJr./フリークシーン

ダイナソーJr.のオリジナルメンバー、J・マスシス、ルー・バーロウ、マーフの3人にスポットライトを当て、バンドの結成から解散、そして再結成後の活動までを記すドキュメンタリー。

J・マスシスのギターの音量がでかすぎて、他の二人も音を上げるしかなかった、という、まさに!なエピソードからはじまり、メンバー間の関係性まで深掘りしていく。

この映画の中で印象的だったのは、ピクシーズのブラック・フランシスが、バンドは一つの怪獣で、それぞれのメンバーが手足や頭を担当しており、大切なのは「大きな頭」ではなく「バランス」だと語るシーン。
結局バランスがめちゃくちゃ悪かったダイナソーJr.は解散となってしまう。
現在はオリジナルメンバーで再結成し、良いバランスで活動しているようでめでたしめでたし、だが、バランスを崩したままバッドエンドを迎えたバンドも星の数ほどいるだろう。

バンドマンや、チームで活動をする人にはぜひ見て欲しい1本です!

音楽

原作は愛知県蒲郡市出身の漫画家、大橋裕之先生。
バンドや若さゆえの初期衝動の美しさが、大橋節の絶妙な空気感によって描かれます。
大橋先生の漫画でよく見られる、何も起こらない、一見すると意味のない一コマ。
これは、漫画の中で動く人物のリズムや空気感を表現する上でとっても重要なものです。
制作に7年をかけ、7万枚を超える作画を全て”手描き”で行った、岩井澤健治監督の異常とも言えるこだわりが結実し、この大橋漫画の最重要因子である”間の一コマ”を映像で完全再現しています。
逆に言えば、漫画で映像のリズム感をしっかり表現して読者に体験させていた大橋先生も凄い!

ポカリスウェット的青春は苦手、されども青春補給したい方にオススメです。

ローレンス・オブ・ベルグレイヴィア

80年代のUKインディーギターポップの中でも異才を放っていたバンド”FELT”。そのFELTのフロントマンであるローレンスのドキュメンタリー。
2026年8月22日(土)に名古屋の伏見ミリオン座にて、1日限定上映されます!
私もまだ見ていないのですが、とっても楽しみにしています。
伏見ミリオン座上映情報

まとめ:インディーは現場で体感せよ

気になる映画はありましたでしょうか?
おそらく、調べても見る方法ないじゃん、、となった人もいるのではないでしょうか。

そうなんです。こういう映画って上映館数も少ないし、上映期間も短いし、ソフト化されないし、配信されないし、、見れへんやん!なことがたくさんあります。

最近も、90’s USインディーのスパークルホースのドキュメンタリー映画がやってたんですが、気付いたら終わっていて見逃してしまいました…。

だからこそ、劇場で映画を観たり、ライブを観に行ったり、レコード店に直接行って買い物をしたり、新譜を追う事はとっても大切だなと、つくづく感じます。
サブスクの配信なんて、いつ停止されるか分かりません。好きな音楽や映画は、ちゃんと物として持っておきたいものです。
技術の進化によって気が付かないうちに失っていくものを、インディーは思い出させてくれます。

これから生まれる新しいムーヴメントの誕生の瞬間を見逃さないようにチェックしておきましょう!

この記事を書いた人

ノザキ

ノザキ

主にRock(indie、Alternative)が好きです。
中古レコード探し以外にも、国内外アーティストのライブを見に行ったり、BandcampやSoundcloudでインディペンデントな活動をしているアーティストの発掘に力を注いでいます。
また、学生時代からバンド活動を続けており、現在も複数のバンドでドラムを叩いています。

ミュージックファーストのコラムでは、オススメ紹介や新入荷情報以外にも、ライブレポといった私的な体験も執筆させていただいております。
皆さんの音楽生活のお役に立てれば幸いです!