スラッシュメタルとは? おすすめスラッシュメタル名盤紹介と 歴史・特徴・四天王バンドをわかりやすく解説
CONTENTS
それでも紹介し足りない…!
当店おすすめのスラッシュメタル 20選
とはいえ、ここまでに挙げた歴史や四天王の作品紹介は、筋金入りのスラッシャーの方々にとっては「言わずもがな」の常識かもしれません。
「王道はすべて通過した。せっかくだから、もっとディープな沼に足を踏み入れてみたい」
「当時リアルタイムで追いきれなかった、隠れた名盤と出会いたい」
そんな探究心旺盛な方に向けて、当店が自信を持っておすすめする“ちょっとマニアックな裏名盤”や、“スタイルが尖りすぎていて好みが分かれる”ようなスラッシュメタルをさらに20タイトル厳選しました。当店のセレクトゆえに、黄金期である1980年代の作品が中心となりますが、あなたのメタル・ライフにおける「新たな狂気との出会い」の参考にしていただければ幸いです。
タイプ①:猪突猛進!
スピード&リフ重視の「直球ストレート型」
とにかく速いテンポ、ザクザクとした切れ味鋭いギターリフ、そして荒々しい衝動を最優先したい方におすすめの硬派な5作品です。

1. Razor / Executioner’s Song (1985年)
後に独自の進化を遂げるカナディアン・スラッシュ・シーンにおいて、圧倒的なバイオレンスを撒き散らしてデビューした猛者の1stアルバムです。 一切の妥協を排した爆速のスラッシュビートに乗せて、その名の通り「剃刀」のように鋭利なギターリフを執拗に刻み続ける直球勝負のスタイルが、今聴いても最高に痛快な一枚です。
2. Living Death / Metal Revolution (1985年)
ジャーマン・スラッシュ三羽烏よりも早くから活動を開始し、黎明期のシーンの土台を築き上げた最古参バンドの2ndアルバムです。 フロントマンであるトトー・ベルグマンの不気味な超高音奇声スクリームと、荒削りながらも底知れぬパワーで突っ走る泥臭くアグレッシブなスピード・サウンドが最大の魅力です。
3. Vio-Lence / Eternal Nightmare (1988年)
後にマシーン・ヘッドを結成するロブ・フリン(G)らが在籍し、ベイエリアで最も狂暴かつ過激なスピードを誇った伝説的バンドの衝撃のデビュー作です。 狂犬のごとくまくし立てるがなりボーカルと、常軌を逸した手数の多さで限界突破の爆走を見せるツイン・ギターのリフ・ワークは、一瞬の息継ぎすら允许さない緊張感に満ちています。
4. Slammer / The Work Of Idle Hands (1989年)
ムーブメントの終焉期にイギリスから登場し、知る人ぞ知る高い実力を誇りながらも短命に終わってしまった隠れたUKスラッシュの名作1stアルバムです。 本場アメリカのベイエリア・サウンドに影響を受けつつも、英国産バンドならではのどこか翳りのある哀愁漂うメロディと、やや強引な曲展開とカチッとした職人気質な硬質リフが渋い光を放ちます。メタリカ好きは是非。
5. Evildead / Annihilation Of Civilization (1989年)
エージェント・スチールのメンバーらによりロサンゼルスで結成された、B級スラッシュの枠に収まらない高い実力を持つバンドの1stアルバムです。 アメコミ調のポップなジャケットとは裏腹に、中身はベイエリア風のザクザクとした極上クランチ・リフがこれでもかと詰まった、社会風刺を利かせたアグレッシブな快作です。
タイプ②:劇的な疾走感!
正統派メタルに通じる「メロディ重視型」
ただ激しいだけでなく、流麗なツインギターのハモりや、しっかりとメロディを歌い上げるクリーンボーカルを愛する方へ贈る4作品です。

6. Flotsam And Jetsam / Doomsday For The Deceiver (1986年)
後にメタリカへと加入する天才ベーシスト、ジェイソン・ニューステッドが在籍していたことでも知られるアリゾナ出身のバンドのデビュー作です。 正統派ヘヴィメタル直系のドラマチックな楽曲構成や美しいメロディ展開と、スラッシュメタルらしい爆発的な疾走感が見事な高次元で融合した、驚異的な完成度を誇る傑作です。
7. Heathen / Breaking The Silence (1987年)
サンフランシスコ・ベイエリア出身でありながら、スピードのみに頼らず「美メロ」を徹底的に追求したメロディック・テクニカル・スラッシュの1stアルバムです。 正統派メタル顔負けの流麗なツイン・ギターのハモりと、しっかりと歌い上げるクリーン・ボーカルを高速の刻みに乗せるスタイルは、後のパワーメタル・シーンにも大きな影響を与えました。
8. Laaz Rockit / Know Your Enemy (1987年)
初期の正統派パワー・メタルから時代の潮流に合わせて劇的な高速スラッシュ化を遂げて大成功を収めた、ベイエリア・ベテランによる3rdアルバムです。 ザクザクとした極上の力強いクランチリフと、キャッチーでありながらアグレッシブな楽曲展開は、当時ここ日本のメタル・シーンでも大ヒットを記録しました。
9. Paradox / Heresy (1989年)
そのあまりにも緻密な構築美から「ジャーマン・メタリカ」の異名を取った、メロディック・スラッシュの名手によるコンセプト・アルバムの傑作2ndです。 超高速で激しく疾走するスラッシュメタルの攻撃性の中で、悲壮感あふれるドラマチックなツインギターのアンサンブルと美しいメロディ歌唱が完璧な調和を見せています。マイ・フェイバリットな1枚。
タイプ③:緻密な脳内パズル!
複雑怪奇な「テクニカル&プログレッシブ型」
変拍子や知的な展開、超絶な楽器演奏テクニックの応酬など、プログレッシブで聴き応えのあるアレンジを求めるマニア向けの6作品です。

10. Deathrow / Raging Steel (1987年)
ジャーマン・スラッシュの隠れた実力派であり、後にプログレッシブなアプローチへと傾倒していく彼らの個性が最も激しい形で爆発した2ndアルバムです。 怒涛のスピード感で押し寄せる激流のようなサウンドの中に、緻密に構築されたツインギターの美しいコンビネーションが光る、ドラマチック・スラッシュの隠れた名盤です。
11. Artillery / Terror Squad (1987年)
北欧デンマークが誇るテクニカル・スラッシュの重鎮であり、世界中のコアなマニアから現在も熱狂的な支持を集め続けるバンドの2ndアルバムです。 ストッツァー兄弟によるエキゾチックな旋律を織り交ぜた複雑怪奇なリフ・ワークと、独特のハイトーンがなりボーカルが絡み合い、唯一無二の怪しい世界観を構築しています。
12. Voivod / Killing Technology (1987年)
カナダが生んだ唯一無二の孤高の存在であり、SF的な世界観と独創的な音楽性でシーンに異彩を放ち続けたサイバー・プログレッシヴ・スラッシュの3rdアルバムです。 名ギタリスト「ピギー」による不協和音を多用した冷徹なリフと、インダストリアルな冷たさを感じさせる実験的なアプローチは、スラッシュの枠を完全に超越しています。
13. Forbidden / Forbidden Evil (1988年)
サンフランシスコ・ベイエリア・スラッシュの成熟期に登場し、その圧倒的な演奏技術の高さで瞬く間にシーンの主役に躍り出た実力派バンドの1stアルバムです。 後にスレイヤー等で活躍するポール・ボスタフの超絶ドラミングと、ラス・アンダーソンの驚異的なハイトーン・ボーカルを軸にした、極めて緻密で攻撃的な名盤です。
14. Coroner / Punishment For Decadence (1988年)
元々はセルティック・フロストの裏方スタッフだったメンバーらによりスイスで結成された、超絶テクニカル・トリオによる2ndアルバムです。 クラシックの素養を感じさせる冷徹で緻密な変則リフと、ジャズ・フュージョン的なアプローチを取り入れた複雑な変拍子は、スラッシュメタルをインテリジェンスな芸術へと高めました。
15. Annihilator / Alice In Hell (1989年)
カナダが誇る天才マルチ・プレイヤー、ジェフ・ウォーターズ(G)率いるバンドの、ヘヴィ・メタル史を震撼させた衝撃のデビュー作です。 一分の隙も狂いもない変態的かつ完璧にコントロールされた精緻なリフ・ワークと、目まぐるしく変化するドラマチックな展開力は、新世代スラッシュの到来を告げるに十分な衝撃でした。
タイプ④:パンク&ストリートの融合!
「クロスオーバー&変化球型」
ハードコア・パンク由来の強靭なモッシュ・グルーヴや、独自のテーマ・世界観を盛り込んだ、一味違う個性を放つ5作品です。

16. S.O.D. / Speak English Or Die (1985年)
アンスラックスのメンバーらを中心に結成され、ハードコア・パンクとスラッシュメタルを融合させた「クロスオーバー」の先駆者による大名盤です。 1曲が数十秒〜1分台という超高速のショートカット・チューンと、ストリート感あふれる毒気混じりのユーモアは、当時の双方のシーンに凄まじい衝撃を与えました。
17. Sacred Reich / Ignorance (1987年)
政治や戦争の本質、社会の不条理を鋭く突いたメッセージ性の強い歌詞を掲げ、硬派なスタイルを貫いたアリゾナ出身のバンドのデビュー作です。 強靭なグルーヴを生み出す重厚なミドル・テンポと、容赦なく牙をむく爆発的なスピード・パートを巧みに操る、非常に緩急のついた計算高度なスラッシュ・サウンドを展開しています。
18. Tankard / Chemical Invasion (1987年)
クリエイター、ソドム、デストラクションの「ジャーマン三羽烏」に彼らを加え、「ジャーマン四天王」と呼ばれる重鎮の2ndアルバムです。 一貫して「ビール」やパーティーをテーマにする陽気なパンキッシュさを持ちながら、演奏自体は極めてタイトかつ超高速で突っ走るという、痛快なギャップが最大の武器です。
19. Uncle Slam / Say Uncle (1988年)
スイサイダル・テンデンシーズのメンバーらとも深く繋がり、L.A.のスケート・カルチャーと密接にリンクしていたクロスオーバー・スラッシュの1stアルバムです。 ハードコア譲りの小気味よいノリの良さとキャッチーなグルーヴに、メタル特有のザクザクとした硬質なリフを絶妙なブレンドで配合した、小細工なしの痛快サディスティック・サウンドです。
20. Cro-Mags / Best Wishes (1989年)
ニューヨーク・ハードコア(NYHC)の伝説的レジェンドが、メンバー・チェンジを経て完全にスラッシュメタルへと接近して作り上げた大問題作にして2ndアルバムです。 ハードコア由来の肉食獣のような強靭なグルーヴとモッシュ・パートに、メタルのエッジの効いた高速リフがクロスオーバーした、ストリートの怒りが凝縮された一枚です。
日本のスラッシュメタル・シーン
1980年代のスラッシュメタル・ムーブメントは、ここ日本にも飛び火し、世界に引けを取らない独自の過激なアンダーグラウンド・シーンを形成しました。
DOOM・JURASSIC JADE・UNITED・CASBAHが牽引した1980年代の黎明期
日本のスラッシュメタル黎明期を支えたのは、のちに伝説として語り継がれるインディーズバンドたちでした。
プログレッシブな要素と変拍子、フレットレスベースを駆使した唯一無二の世界観を誇った DOOM。
狂気的なボーカルと呪術的なヘヴィネスで異彩を放った JURASSIC JADE。
のちにメジャー・デビューを果たし、アメリカ的な洗練されたスラッシュ・サウンドを追求し続けた UNITED。
そして、圧倒的なスピードと荒々しさでシーンの基準となった CASBAH。
彼らは東京や関東近郊のライブハウスを中心に、凄まじい熱量のギグを展開していました。
オムニバス『SKULL THRASH ZONE』が日本シーンを加速させた

日本のインディーズ・スラッシュシーンの存在を世に知らしめる決定打となったのが、1987年にビクターからリリースされたオムニバスアルバム『SKULL THRASH ZONE Volume I』です。
この作品には、前述の DOOM や JURASSIC JADE に加え、当時まだ無名だった X(のちのX JAPAN)や GROUND ZERO などが参加。
当時の日本のアンダーグラウンドにおける「最も危険で速い音」が1枚に凝縮されており、日本のメタル・キッズたちに計り知れない衝撃を与え、シーンを一気に加速させました。
初期Xとヴィジュアル系スタイルへつながったスラッシュメタルの影響
現在でこそ日本を代表するロックバンドとして知られる X JAPAN ですが、インディーズ時代の初期(『Vanishing Vision』〜『BLUE BLOOD』頃)の音楽性は、紛れもない高速スラッシュメタルがベースにありました。
「BLUE BLOOD」「紅」「X」「オルガスム」といった楽曲の随所に見られるツイン・ギターのリフや超高速のツーバス連打は、スラッシュメタルからの直接的な影響です。
彼らはスラッシュメタルの攻撃的なスピードに、ジャパニーズ・ハードコア譲りの派手な髪型・メイク、そして歌謡曲にも通じる哀愁のメロディを融合させました。
これがのちに日本独自の「ヴィジュアル系(V系)」という巨大なカルチャーへと発展していく原点となったのです。
スラッシュメタルが生んだ進化系サブ・ジャンル
1980年代後半、スラッシュメタルが飽和状態を迎える中で、その過激さをさらに押し進めた新たな音楽ジャンルがスラッシュの胎内から誕生しました。
デスメタル/ブラックメタルへの影響
スラッシュメタルが持っていた「スピード」と「攻撃性」をさらに極限まで突き詰めた結果、2つの過激なジャンルが生まれました。
-
デスメタル(Death Metal)
スレイヤーやジャーマン・スラッシュのサウンドをベースに、リフをさらに低音化させ、ボーカルを完全に人間離れした獣のような「デスボイス(グロウル)」へと進化させたジャンル。歌詞のテーマも死や猟奇的なものへと特化しました(代表:Death, Morbid Angel)。 - ブラックメタル(Black Metal)
初期のVenomやSodom、Destructionなどが持っていたサタニック(悪魔崇拝的)な雰囲気と、あえて音質を悪くしたRaw(生々しい)なトレモロリフ、金切声のようなボーカルを特徴とするジャンル。北欧(ノルウェーなど)を中心に独自のアンダーグラウンド・カルチャーへと発展しました(代表:Mayhem, Darkthrone)。
スラッシュメタルのレコード/CDを売るなら:
高価買取のポイント
1980年代〜90年代初頭にかけてリリースされたスラッシュメタルのアナログレコードや初期盤CDは、現在、世界中のコレクターの間で市場価値が非常に高騰しています。
もしコレクションを整理する予定があるなら、以下のポイントをチェックしておきましょう。
オリジナル盤・初版プレスは査定額が大きく変わる
スラッシュメタル全盛期のオリジナルアナログ盤(当時モノ)や、インディーズ・レーベル(Megaforce、Metal Blade、Combat、Noise Recordsなど)からリリースされた初版プレス(1stプレス)は、再発盤とは比較にならないほどの高値で取引されます。
例えば、メタリカの初期3作のオリジナルLPや、スレイヤーの初期盤、さらにはマニアックなスラッシュ・バンドの自主制作LPなどは、国内外のコレクターが血眼で探しているため、驚くような査定額がつくケースが多々あります。
状態・帯・ライナーノーツの有無が買取価格を左右する
特に日本盤のアナログレコードや初期CDを売却する場合、「帯(おび)」の有無が査定額を数倍〜十数倍に左右することがあります。
当時、日本盤を買ったファンが捨ててしまいがちだった帯ですが、現在のコレクターや海外のコレクターにとっては「日本盤の象徴」「完品扱い」として絶大な人気があるためです。
もちろん、ジャケットの擦れや折れ、盤面の傷(音飛びの有無)、解説書(ライナーノーツ)や歌詞カード、当時の初回特典(ステッカーやポスター)が綺麗に残っているかどうかも、高価買取のための重要なチェックポイントとなります。
専門知識を持たない一般的なリサイクル・ショップではなく、メタル専門の査定スタッフがいる当店などのレコード・CD買取専門店に依頼するのが鉄則です。
ちなみに当店でいままでに買取った一例をこちらに提示しておりますので、参考にしていただけたらと思います。
スラッシュメタルの買取実績はこちら
まとめ:スラッシュメタルは
ヘヴィ・メタル進化の中心にあり続けるジャンル
1980年代に商業主義に対する反逆として、地下深くで産声を上げたスラッシュメタル。
その圧倒的なスピード、パームミュートによる鋭利なギターリフ、社会の闇を射抜くシニカルな歌詞は、一過性の流行に終わることなく、ヘヴィ・メタルの歴史そのものを塗り替えました。
メタリカ、メガデス、スレイヤー、アンスラックスの四天王が築き上げた遺産は、現代のデス・メタルやブラック・メタル、さらにはジェントといった最先端のエクストリーム・ミュージックの中にも脈々と息づいています。
今聴いても全く色褪せることのない、人間の生々しい衝動と怒りが詰まったスラッシュメタルの世界。
ぜひ、名盤の数々を爆音で体感してみてください。





