【本日のオススメ】 エドワード・グリーグ:ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16 (1868年版) ロヴェ・デルヴィンエル(ピアノ) 広上淳一指揮~ノールショピング交響楽団
今やピアノ協奏曲の中でも有名で演奏会やコンクールの課題曲にもあり、録音も多くあるピアノ協奏曲の一つ。この協奏曲は1868年にグリーグが作曲を初め1869年にコペンハーゲンで初演され、1872年に出版された。グリーグ晩年の1907年に改訂され、ドイツのC.F.Peters社から出版されて今日、広く演奏されているバージョンとなった。
1868年版を聴くと、まず第1楽章の冒頭の第1小節はティンパニーだけでなく、ホルンとトロンボーンもラの音をクレシェンドして響かせている。それに続くピアノソロ部分もオケの第1テーマに入る前の第5小節目の音が1907年版とは異なる。聴いていくと、「あれ? この部分は金管楽器のパートはあったっけ? 木管楽器が旋律を弾いてたっけ?」となる。ピアノ演奏部分も1楽章のカデンツァには市販楽譜では「fff」とあるが、自筆楽譜には鉛筆書きで「ffff」とフォルテを4つも書いているところはグリーグ自身の想いが伝わってくるし、カデンツァを終える直前のトレモロは1907年に追加されたもので、初稿ではトリルでコーダへと渡している。
ちなみに、この曲の1868年版の自筆楽譜は、王立オスロ大学の図書館に保管されていて、1993年に限定版で自筆楽譜ファクシミリ版として出版されたことがある。
また、この曲が初期のレコードに録音された記録は、パーシー・グレンジャーが1908年に英国グラモフォン社へ第1楽章のカデンツァ部分のみを録音(1907年改訂稿で弾いている)。1909年に英国グラモフォン社へヴイルヘルム・バックハウスが第1楽章と第3楽章の省略版を録音。次にリストの弟子でグリーグとも親交のあったアルテュール・デ・グリーフが1921年に英国HMVへ省略版を録音。1927年の電気録音時代に、やっとデ・グリーフが英国HMVに全曲録音を行った。これがグリーグのピアノ協奏曲全曲録音の世界初録音となると思う。ピアノロールではグレンジャーが全曲ピアノソロで録音しているものもあるようだが何年にピアノロールに記録されたかは調べきれなかった。
(Haslinger)
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