レコードの種類はいくつある?
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ソノシート

ソノシートのサイズや特徴
7inchのコーナーを見ていて、あるいはアニメなどサブカルなアイテムを取り扱う中古店で、
レコードというにはあまりにもペラペラで柔らかく心もとない、
「ソノシート」というメディアに遭遇することは少なくありません。
ソノシートは元々フランスのメーカーによって開発されたもので、
1958年に出版社Sonopresseから刊行された
雑誌「SONORAMA」が付属品の形式で取り扱ったのがその起源です。
薄く柔らかい特徴だからこその発想ですし、現在のCD付属本の先駆けとも言えそうですね。
日本国内での呼び方には、
「フィルムレコード」「シートレコード」「フォノシート」
のように当初バリエーションがあったものの、
朝日新聞の関連会社である朝日ソノプレス社が「SONORAMA」の日本版と言える
”音の出る雑誌”(という謳い文句の)「朝日ソノラマ」がソノシートの名で商標登録、
以降それが通称となった流れがあるようです。

素材は塩化ビニールで、非常に安価かつ大量生産が容易という点から、
60~70年代の各種雑誌(特に子供向けのもの)の付録として流通。
両面録音のものだけでなく、片面のみのものも少なくありません。
吹き込まれた音源は音楽だけでなく、
ニュースや英会話教育、メッセージカードのようなノンミュージックの音声情報も含め多岐に渡ります。
個人的に思い出せるところだと、
キーボード雑誌「KEYPLE」付録の教則演奏のデモが録音されたものや、
雑誌「ロッキンf」付録だったX(X JAPAN)の代表曲「紅」入りのものなども。

ちなみにソノシートはレコードプレーヤーでも再生できますが、
リアルタイムで経験した世代からはポータブルプレーヤーで聴くもの、
というイメージが強いようです。
当時の子供たちが親しんでいたのはポータブルプレーヤーで、
親のターンテーブルを使わせてもらえない家も少なくなかった様子。
そもそもお小遣いの限られる子供たちにとって、レコード自体高価なもので高嶺の花でした。
そこで無理をせずに手が出せる音源がソノシートだったのです。
全てのソノシートが子供向けということはありませんが、
特撮やアニメのソノシートが多いのは販売側がそうした事情を踏まえて制作していたのだろう、
という推測は容易にできるでしょう。
かくして世に多く出回ったソノシートでしたが、
80年代に入るとCDの普及に伴って存在感がフェードアウトし始め、
2005年に国内生産終了に至りました。
それでも、海外の工場に発注する形ではありますが、
一部アーティストがこだわりをもってソノシートで新譜を出すことはあるので、
完全に消え去ったわけではありません(例.トクマルシューゴ/Decorate [2012])。
ソノシートとレコードの違い

ソノシートと通常のレコードの違いとしてすぐに挙げられるのは「音質が悪い」点です。
繊細に扱うという概念のない小さな子供にも耐える柔らかくてタフな物体。
つまり折れ・割れの起きないほど薄いということですが、
それは同時に掘られる溝の深さや材質が違うことを意味します。
ソノシートは基本色付きの透明な盤です。
レコードが黒いのは強度・硬度を上げるためにカーボンが混ざっているからですが、
ソノシートにそれは求められていません。
必然的に硬度による音の優位性=高域の再現性や低域のクリアさは切り捨てられます。
ああ、やっぱり。
何となくイメージしていた通り、ぺらぺらでふにゃふにゃだから音が悪いのか…。
自然と納得しかけそうになります。
がしかし。
実は音質の悪さの原因はその物質性云々というよりも安価で大量生産したから、
ということの方が大きいのようなのです。
つまり一枚一枚本気で製造すれば、例え薄くて柔らかいソノシートでもいい音は出せるはずとのこと。
今まで世に出回ったものはコストパフォーマンスの観点から諸々を割り切っていたからなのですね。