【本日のおすすめ】 オノ セイゲン / forty days and forty nights (1991)

【本日のおすすめ】
オノ セイゲン / forty days and forty nights (1991)

”良い音” ”高音質”。

実のところ、レコード店で働きながらもこういった単語に未だあまりピンと来ていません。

そんな自分にも、まざまざと録音の良さというもの刻み付けたCDがこちら。自身の名義による91年作です。

オノセイゲンと言えば80年代の和レアリックなレコード(マライア関連作とか)、ブラジル音楽やジャズの名盤のリマスター再発で名前を見る名エンジニア。

そんな彼の職人芸がいかんなく発揮されており。生々しく顕現する音の粒子。その恐るべきソノリティたるや。

人間、受け取る情報が多いと処理が追い付かずにくらくらする、みたいな表現が昨今のバトル漫画でもよく描かれますが、それに近いような(無量空処的な)。一応ですが、SACDでもBlu-specでもSHMでもない、普通のCDです、これ。

小野が焦点をあまり定めずに鳴らすギターやシンセを軸に、他のプレイヤーが即興的にフレーズを重ねるアンサンブル。元々メロディやリズムが不明瞭な音楽……なのですが、聳え立つ異様な定位の音響がそれらすら置き去るので、さらに抽象度を増して感じられます。

というか何なのだろう、この立体感。演奏者が目の前にいるみたいな感じとも違うし、曼荼羅の中に入り込んだような、というか。ドラッギーでは決してないのに、極めてサイケデリックというのか。

一定のトーンで統一されていますが、M5「Noah’s Ark」はハイライト
と言えそうです。映画のサウンドトラックとして制作された曲なのですが、映画監督からはレファレンスとしてギャビー・パヒヌイのスライドギターを提示されていたそう。岡田徹もギターで参加していますが、これはあれです。スティーヴ・ハイエット「渚にて」と同じ青空の下にある音世界ですね。ライ・クーダーの「パリ、テキサス」の劇伴が好きな人も喰らうに違いない。

音圧の強いミックス=高音質ではない。とはオノセイゲンの語るところだったはず。ぜひボリュームをしっかり上げて流してみてください。亜空間が展開されるはずです。

(A.K.)