【本日のおすすめ】 Yo-Yo Ma / Plays Ennio Morricone (2004)
【本日のおすすめ】
Yo-Yo Ma / Plays Ennio Morricone (2004)
今週のサントラ特集はモリコーネ。それに因んでこちらを。
幅広く、いくらでも深入りできそうな彼の世界。
その中にあって忘れてはならない/忘れられない、彼の美しい旋律。
モリコーネ自らと、最高峰のチェリストであるヨーヨー・マ、そしてローマ・シンフォニエッタが紡ぐそれは、珠玉のコラボレーション。
有名な「ガブリエルのオーボエ」(映画『ミッション』より)。天の梯のように降り注ぐ光のチェロに包まれる……至福のはじまり。
ジュゼッペ・トルナトーレ監督作の組曲で現れる「ニュー・シネマ・パラダイス」のあのメロディ。連綿と続くイタリア映画音楽の素晴らしさを噛みしめたくなる。
自分は映画の雰囲気や魂を元に作曲するが、ヨーヨーはそれを崩すことなく変化と創造を行える稀有な才能、とはモリコーネ自身の評。完全に同意です。
パリ生まれ、中国ルーツ、アメリカ人。まさしくコスモポリタンであるヨーヨー。出身はクラシック音楽ではありますが、ブラジル音楽やアメリカーナに挑戦したり、ジャズミュージシャンとも共演したり、ジャンルの垣根をひょいと超えた活動をしていて。
そんなことが可能なのも、彼が驚異的なテクニックと解釈の正確な視座を持ち合わせているプレイヤーだからでしょうね。「ヨーヨー・マ・プレイズ・ピアソラ」で共演したブエノスアイレス八重奏団のメンバー(手練れ中の手練れ)に、数十年やってきて全ての音が正確なのは初めて、と言わしめるほどですから。
モリコーネの表情豊かな一音一音を余さず拾う、正確で力強く、そしてオケとファミリーのごとく繋がり、調和する典雅なチェロ。曲と曲との間隔を感じないくらいに、それこそ一本の映画さながら、極めて自然に流れていく。
「イマージュ」な気分にある自分の、最近のお気に入りです。
(recommendation & text by A.K.)
