【本日のおすすめ】 井上武英 / Real Feeling (1994)

【本日のおすすめ】
井上武英 / Real Feeling (1994)


前情報なしに勘だけでCDを掘る、というのが趣味だった時期がありました。

大抵は橋にも棒にもかからないような内容なのですが、稀に予想以上に好内容のものに出会うことも。東京の中古店で見つけたこちらもそんな一枚。

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SSWの井上武英の1st。この人が残したアルバム2枚のみで、一般的にはTVアニメ「機動武闘伝Gガンダム」のED曲で知られる人物。Gガンダムは未履修なのでそうと知らずに買いました。

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まず、歌がめちゃくちゃ上手い!
そして曲が良い!

テイストもややハード路線ではあるものの、AORど真ん中といった感じ。いわゆる90年代シティポップですね。

大内義昭、佐藤健、長岡成貢といったシティポップ好きには馴染みのある作家陣が曲提供していて、さすがの安定ぶり。釣果としてはこれだけでも十分満足いくところ。

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しかし、井上自身が作曲した3曲がそれらを上回って良いのです。

特にM7『ガラスのTrue Love』。
流れた瞬間に圧倒。
スタイル・カウンシルと尾崎紀世彦が同居したようなアシッドジャズ・マナーのキラーチューン。

イントロの抑えたベース……からの『Move On Up』風ブラスセクションの滑り込みにテンションは一気に上昇。そのまま井上の爽快なボーカルが突き抜けて摩天楼へ。

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未知の盤からこんな曲が突然現れたら……というディガーズ・ディライト体験。

レコードがかなり掘りつくされた現在、CDこそ残されたフロンティアと信じて手を伸ばしてよかったと思えたディグでした。

(recommendation & text by A.K.)