ジャズ・ファンク完全ガイド|名盤・名曲・歴史を紹介!

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【ブラジル/ユーロ】全世界に広がるジャズ・ファンク

Azimuth (Azymuth) / Azimuth (1975)

ブラジリアン・ソウルを代表するアジムスによるデビュー作。「Linha Do Horizonte」をはじめ、パーカッシヴなグルーヴと浮遊感のあるエレピの透明感が心地よい。作品を追うごとにフュージョン色を強め、レア・グルーヴ界隈からも人気のブラジルのレジェンドです。


Joao Donato / A Bad Donato (1970)

ブラジル音楽の巨匠ドナートがアメリカで録音した痛快ブラジリアン・ファンク。ダンサブルな「The Frog」はマッドで飛び道具的なオルガンと、脳内をかき乱す躍動的なパーカッシヴがトリッピーで楽しい。


Placebo / Ball Of Eyes (1971)

マーク・ムーラン率いるベルギー産クロスオーバー・ファンク。ジャズ・ロック寄りの硬質でアグレッシヴなグルーヴと練られたクールなアレンジが光る。サンプリング・ネタとしても有名な「Humpty Dumpty」は掴めそうで掴めない魅力がある。


Cortex / Troupeau Bleu (1975)

フレンチ・クロスオーバーの最高峰。鍵盤が前面に出たフローティングなサウンドと清涼感、サイケデリックなアレンジと美しい女性ボーカルも魅力。「Mary Et Jeff」は切ないピアノの旋律とドリーミーなメロディが頭に残る4つ打ちブギー。

【ジャパニーズ】我ら日本が誇るファンキーな和ジャズ

Soul Media / Funky Stuff (1975)

稲垣次郎率いるソウル・メディアの代表作。高いサウンド・プロダクションと重厚なホーンとファンクの勢いが凄まじい。「Painted Paradise」は日本産とは思えないほど骨太なグルーヴが炸裂する。


Takehiro Honda / What’s Going On (1973)

日本を代表するピアニスト本田竹広がソウルやファンクの要素を取り入れたクロスオーバー・アルバム。かなりファンキーにふりきったエネルギッシュな演奏とカバー・センスもグッド。「Ain’t Funky Now」は力強いエレピによる攻めの姿勢が熱い。


Teruo Nakamura / Unicorn (1973)


中村照夫がニューヨークで録音したスピリチュアルでファンキーな世界。ジャズの自由さとファンクの躍動感が融合し、ベースの存在感が圧倒的。「Umma Be Me」など、ダイナミックでタイトなグルーヴで蹴散らしてくれる。


Masaru Imada Trio / Green Caterpillar (1975)


ピアニスト今田勝がTBM時代に発表したファンク路線のアルバム。ファニーな遊び心とタイトなリズム、少し神秘的、そして美しくも時にエモーショナルなピアノが印象的。タイトル曲「Green Caterpillar」はファンキーだが、他のジャズ・ダンサーなナンバーも良い。


Ryo Kawasaki / Mirror Of My Mind (1979)


ギタリスト川崎燎がニューヨークで制作したクロスオーバー作品。エレクトリックな質感と叙情性が共存し、ジャズ、ファンクとフュージョンを横断する洗練されたサウンドが展開。「Trinkets & Things」はメロウで都会的なグルーヴが光る名トラック。


Kimiko Kasai With Herbie Hancock / Butterfly (1979)


ジャズ・シンガー笠井紀美子がハービー・ハンコックと共演したフュージョン・ブギー作。タイトル曲「Butterfly」しかり、ハービーのエレピとエキゾチックな笠井の美声が絶妙に調和し、ファンキーなシティ・ポップとも解釈できる。

耳で聴き比べる「サンプリング」の魔術!
ジャズ・ファンクがヒップホップへ

ジャズ・ファンクのレコードがなぜこれほどまでに愛されるのか。その答えの一つが「サンプリング」にあります。ヒップホップのプロデューサーたちは、ジャズ・ファンクの中に眠る数秒のドラムブレイクや美しいメロディを切り取り、全く新しい楽曲へと生まれ変わらせました。

ここでは、誰もが知る名曲とその「元ネタ」を並べて数曲紹介します。ぜひ聴き比べて、その魔法を体感してください。

Case 1.  ドラムブレイクの教科書

【サンプリング】Run-DMC / Peter Piper

【元ネタ】Bob James / Take Me to the Mardi Gras

このイントロの鐘の音と強烈なドラムブレイクはサンプリング・ミュージックの象徴です。

 

Case 2.  最も聴かれた「ドープ」なドラムブレイク

【サンプリング】Gang Starr / Take It Personal

【元ネタ】Skull Snaps / It’s A New Day

曲の冒頭のドラムブレイク一発で曲の空気が変わります。ど鉄板のこのドラムブレイクは幾度となく使われました。

Case 3.  時代を超えるアンセムの融合

【サンプリング】Gang Starr / Check The Technique

【元ネタ】Marlena Shaw / California Soul

多幸感溢れるストリングス。このフレーズをサンプリングすることでメロウ度が上がってます。

Case 4.  メロウ・ジャズ・ファンクの極致

【サンプリング】A Tribe Called Quest / Bonita Applebum

【元ネタ】Ramp / Daylight

浮遊感のあるメロディとフレーズはジャジー・ヒップホップの礎を作りました。

Case 5.  哀愁のエレピが奏でる叙情詩

【サンプリング】2Pac / Dear Mama

【元ネタ】Joe Sample / In All My Wildest Dreams

ジョー・サンプルの優しくも切ないエレピ。ジャズ・ファンクが持つ「静かな情熱」が詰まっています。

Case 6.  オルガン・ジャズの名演を継ぐ

【サンプリング】Nas / Memory Lane

【元ネタ】Reuben Wilson / We’re In Love

オルガン奏者リューベン・ウィルソンによる、どこか懐かしく温かいジャジー・グルーヴ。 

さらに深く知るために:
必携のガイドブック&サイト


ジャズ・ファンクやレア・グルーヴの広大な宇宙を旅するには、信頼できるガイドマップが必要です。ここでは、コレクターやプロのDJも愛用する書籍とサイトを紹介します。

必携のガイドブック

  • 「JAZZ NEXT STANDARD」
    ジャズの新しい価値観を提示した記念碑的一冊。レア・グルーヴ再評価タイトルもしっかり網羅。王道・名盤もぎっしり記載されており、クラブ・シーン以降の視点で選ばれた盤でどれもハズレなし。

  • 「JAZZ FOR DANCERS」
    その名の通り”踊れるジャズ”を徹底追求し、モダン・ジャズからファンク系まで紹介。DJ視点での解説が、ジャズ・ファンクの理解を深めてくれます。

  • 「JAZZ MEETS EUROPE ヨーロピアン・ジャズ ディスクガイド」
    アメリカ産とは一味違う、ユーロ・ジャズの洗練された世界を網羅。ジャズ・ファンクとフュージョンの項目がかなり参考になります。

  • コテコテ・サウンド・マシーン
    レビューも人間味があって面白い、ソウル・ジャズの聖典本「コテコテ・デラックス」の続編版。ソウル・ジャズ中心でありながらジャズ・ファンクもちゃんと掲載されてます。
  • 「THE RE:SAMPLING DICTIONARY 2008」
    ヒップホップと元ネタの関係を辞書形式でまとめた、サンプリング研究のバイブル。凄い量で載ってます。

最強のサンプリング検索サイト

  • Sampling Love (http://www.sampling-love.com/)
    「この曲の元ネタは何だろう?」と思ったら、まずここをチェック。海外のサイトが多い中、日本語対応なのが便利。膨大なデータと音楽への愛に溢れた、国内屈指の検索サイトです。

まとめ:ジャズ・ファンクは一生モノのグルーヴ


ジャズ・ファンクは、単なる一過性のブームではなく、音楽史において非常に重要な役割を果たしてきました。それは「ジャズ」という知的な音楽に「肉体性(ダンス)」を取り戻した革命であり、その後のブラック・ミュージックの発展に不可欠なミッシングリンクでした。

再生した瞬間に鳴り響くドラムの一打、唸るベース、そして自由奔放に舞うソロ。
その熱量は録音から50年経った今でも少しも衰えていません。

もしあなたが何か新しい音楽の刺激を求めているなら。 あるいは心の底からリラックスできる、しかし心地よい緊張感もあるサウンドを探しているなら、ぜひ今回紹介した名盤を一枚手に取ってみてください。
CDでもレコードでも構いません。なんならYouTubeやサブスクリプションがきっかけでも全然良いです。
その時あなたの日常に「最高のグルーヴ」が流れ込み、世界が少し違って見えるはずです。

そしてソウルの歴史についても書いておりますので、そちらも読んでいただけたら嬉しいです。