1980-90年代のオルタナCD買取中! 旧規格盤・初期盤CDとは? 2024年現在の買取事情とオルタナティヴ・ロックのディスク・レビュー

CONTENTS

「いま」中古CDの価値とは?

こんにちは。休憩時間には音楽系 YouTube 動画堀りが欠かせない片山です。

数年前までは安かったレコードがちょっとしたきっかけで高額になったりと、ここ数年起きたレコード需要の再熱と価値の変動に驚かされる毎日です。
が、その一方で「いま」中古CDの需要がどうなっているのか?も気になるところ。

当店はレコードに限らず音楽ソフト全般取り扱っております。もちろんレコードだけではなくCDでの取扱在庫数も多いです。
世の中は「CDが売れない」という情報が出回っていますが、はたしてそうでしょうか?

実際に店頭でレジを対応する身としては、体感的にCDが全然売れていないという感触はありません。

たしかに現役アーティストが新譜をリリースをする場合のフォーマットとして、CD、レコード、デジタルのみ、など色々な形態を選べる時代になり「新譜CDは売れない」「新譜CDを買わない」という風習が強くなってきたせいか、CDリリースを控えているアーティストが多いようには思います。

CDを発売するとしても工場で生産するためにもちろん手間とコストはかかりますし、出したからには売れないと負債在庫になってしまうわけですしね。
「売れない形態にお金をかけるよりも、売れる可能性のある形態にお金をかける」のは現実味のある判断ですし、今の時代で需要の低い新譜CDを生産し販売するのはハイリスクと捉えるのは理解できます。

しかしそれは「新譜CD」の話。

つまり新譜CDよりも中古CDを売り買いするリスナーにとっては、見え方が違うように思います。
たしかに大きく価値の落ちたCDは無数にありますが、かといって全ての価値が落ちたとは思いません。
高音質CDと紙ジャケットCDはいまだ需要が高い状態をキープしていますし、
実際YouTube界隈でも「CD価値の見直し」や「レコードとCDの比較」などをテーマにしたポジティヴな見解での動画も少なくありません。

では本当にCDは売れないのか?それともまだ売れるのか?
独自の解釈も交えて「いまだに需要の高いCDは何なのか?」をテーマにコラムを書いていきたいと思います。

※ここから前半はCDの需要についてのコラムになりまして、後半はオルタナティヴ・ロックのディスク・レヴューとなります。もし先にディスク・レヴューを読まれたい方は こちらをクリック しますとディスク・レヴュ一まで一気に飛べます

帯付CDの価値とは?

きっかけは「ザ・ストーン・ローゼズ / 石と薔薇」の帯付CDでした。

いいいい、石と薔薇・・・?????

 
  このインパクトたるや。


自分はリアルタイムでストーン・ローゼズは聴いておらず後追いでしたので、当時の記憶が正しければ初めて買った時、帯の邦題は「ストーン・ローゼズ」というストレートな直訳表記だったと思います。

そのファースト・インパクトもそうですが、国内盤のレコードを本格的に買うようになって気付いたのは「邦題の面白さ」でした。
作品を覚えやすくする日本のメーカーの戦略?もしくは話題性?リスナーに共通認識で呼び合ってもらうため?色々あると思いますが、その邦題の世界が、まさかのCDにもありました。
その邦題レコードの名残がレコードとCDが交差する80年代後半にどれだけあったのか?
全て網羅したわけではないですが数タイトルはあるようです。

しかも調べてみると、国内盤CDとしてこの最初にリリースされた「石と薔薇」表記帯となる初期盤CD (オークションやショップによっては旧規格CDともいわれます) は再発CDよりも価値が高いことがわかりました。


その理由を個人的に推測するに

当時、大型新人登場的な煽りとはいえ後追いではなくリアルタイムに買っていて、しかも帯まで保存している方が少ない

微妙に違うジャケットデザインや当時のライナーを読みたいコレクター性

でしょうか。まだまだ掴みきれてない理由もあるとは思いますが、
だとしたらとても共感できるし、個人的に「石と薔薇」帯が欲しくなりました 笑


そもそも「初期盤CD」とは?

国内盤CDで再発盤以降の新しいCDと区別するための言葉として、一番最初にリリースされたCDを「初期盤」と呼ぶ傾向があり、
初期盤CD=CD販売全盛期よりも生産数が少ない時代のCDなのでプレミア価格で高くなりやすい ということから、コアなCDコレクターの方やオークションでよく見かける言葉になります。
あと初期盤CDのみの発売になり のちのちに再発売しなかったCDは「廃盤」という言葉でも呼ばれていますね。
初期盤の中でも最初にリリースされた最も古いプレスを「初版」としてコラムを進めていきます。


初期盤CDの帯デザインの特徴

初期盤CDの特徴のひとつとして帯の形状が違う商品もあります。
現在でも主流となっている帯デザインを「通常帯」とするならば
初期盤CDのみのデザインとして
箱帯」「シール帯」「角丸帯」「巻込み帯(折り込み帯)」「たすき帯」の主に5タイプあります。
上記の帯形状であることが初期盤CDの証拠となり、
いまのように簡単に脱着できないその不器用さやレトロな感覚もあいまって、コレクター性を感じている方も多いようです。
しかも「箱帯はソニーが多い」などメーカーによって出している形状が違ったりするので、まだ帯について各メーカーがデザインに模索し オリジナル性を出していた時代なのかもしれません。

あと規格番号と帯の形状のほかに価格表示でも判断できます。
89年までは消費税がなかったので商品に 税表記がありませんでした。ですのでCDに税表記があるのか無いのか、そこでも判断できます。
CDは再発されるほど安くなることが多いので、当時は販売価格が高かったことも見て分かりますね。

「箱帯」とは

四角い箱の蓋のようになっていて、CDに横からカポッとハメる帯になります。
つまりCDの横側面を包む形状なので通常帯と比べて少し大きいので、ラックにしまうと引っかかって単純に邪魔だし、かつ紙状なので出し入れしていると すぐに壊れる&破れる
ゆえに壊れずに綺麗に残っている箱帯というのはかなり稀で、ゆえに高額になります。
主に「ソニー」社が多いイメージがあります。

「シール帯」とは

通常帯のように紙状の帯ではなくシール状態の帯で、直接ケースに貼り付ける帯です。
通常帯と違いCDと分離しておらず貼りついているので、意外に残っているCDもあります。
あと輸入盤にシール帯と日本語ライナーを後付けする「直輸入盤仕様」も多かったかもしれません。
主に「ワーナー」社と「キャニオン」社のCDが多いイメージがあります。

「角丸帯」とは

通常帯の角がほんのり丸くなっている帯です。
この丸いカーブが思いのほか大きくないので意外に見つけづらいです。
主に「東芝EMI」社が多いイメージがあります。

「巻込み帯(折り込み帯)」とは

帯がケースの外を包むのではなく、帯の表側が表ジャケットに巻き込んでプールにダイブするようにスルッと入っていく帯です。既に折れシワがあり綺麗にハマります。
巻込むことから「巻込み帯」もしくは折り込んで入れることから「折り込み帯」という呼び名になっていると思います。
主に「キャニオン」社のCDや、クラシックCDやイージーリスニングCDで多いイメージがあります。

「たすき帯」とは

たすきのような形状でスポっと横から入れる帯です。つまり箱帯の背表紙が無いような感じです。後ろ部分はフックのようになっていて外せます。
主に「日本コロムビア」社のCDや、クラシックCDに多いイメージがあります。


初期盤CDのプラケースは少しデザインが違う?

 
ちなみに初期CD時代のプラケースも、よく見ると現行のプラケースとデザインが違う商品もあります。
(全てではありません。一部商品です)

ケースの側面がツルツルになっていたり、ブックレットを止めるツメ部分の形状が少し違っていたりと、パッと見わからないかもしれませんが微妙に違っているのです。
作品によってはそこにも付加価値が出る場合があるかもしれませんので、初期盤CDは多少はスレてしまっても、できるだけケースも交換せずに保管をしておくのもいいかもしれません。


初期盤CDの未開封は ものすごく高い

未開封CDがそもそも通常のCDよりも高い傾向がありますが、初期盤の未開封CDは群を抜いて高い作品も多いです。
販売価格が10,000円以上で、買取価格も5,000円以上なんてのもザラです。
いまから40年近くも前の商品を開けていないなんて、保存用として故意に開けてないかしないとまず無いですよね。仮に保存用としてキープしているほどコアなコレクターが手放すなんて よほどの確率でしょうし。


80年代と90年代以降で需要が一気に変わる

ウィキペディアを読むに 82年にCDが発売開始され86年にCDがレコードの売上を超えた と記載があります。この情報が正しければ 86年以降はCD派が多くなってくる 解釈になります。
それに伴いメーカーもどんどん本格的にCD化を進めていった時代が85年から90年までな感触ですかね。
つまり82年~86年までの初期盤CD、しかも帯付は稀少となります。

そして90年代以降はレコードの生産がほとんどなくなりCDがメインの時代となり
再発売しない作品は「廃盤」という括りでプレミア化している商品はありますが、
ほとんどの商品は稀少性が薄れていきます。


「帯なしCD」と「2000年代アーティストのCD」は
やはり需要が低い商品が多い… ですが

中古CDを日々買われている方ならひしひし感じていることでしょう。
レコードと同様にCDも帯が無いことで価値が落ちている商品も多いです。

それだけではありません。
CDが一番売れたピーク期「2000年代以降のCD」となると ものすごく売れた商品が多いので、ジャンル問わず内容が良くても供給過多なので 実際買取値段も当店では 低価格 になってしまうことが多いです。帯なしもそうですが、定価が安かった輸入盤ならなおさらです。

あと2000年代アーティストで再評価されたアーティストが80-90年代に比べて少なくなってきている印象もあり、サブスクである程度聴ける時代に あえていまから2000年代アーティストのCDをコレクションし始める方が少なくなってしまうのも頷けます。(当時から買い続けているリアルタイム世代は別として)

とはいえ、です。

現在でもレコードではなくCDのレア盤や稀少盤をコレクションされている方も多く、全ての中古CDが安くなっているわけではありません!
レコードとの音の違いは 好みやプレイヤーの影響もありますから、ここでは多く語りませんが。
やはり聴くにはCDは便利ですしコレクションするにしてもレコードほど場所もとらないし、CDにも十分魅力があります。
そして、その初期盤帯付CDに価値があることをこのコラムで伝えたいのです!

もし「オルタナのCDってどうせ売っても安いしな」と諦めている方がいるとしたら、少し考え直してみてはいかかでしょうか。実は高く売れる商品があるかもしれませんよ。
今回はストーン・ローゼズがきっかけだったので、オルタナティヴ・ロックの誕生から全盛期への推移  、そのタイミングとちょうど重なった CD移行期ともいえる 85年から95年までの約10年間のロック史 をレビューを添えてリストにしてみたので一緒に見てたどってみましょう。