レコードが音飛び・針飛びする原因と直し方

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こんにちは、ミュージックファーストのOです。
最近の出来事です。
やっとの思いで見つけたレコードをワクワクしながらいざターンテーブルへ。
いい感じに曲は進んでいくのですが

「バチッ!!」
「・・・。 え?」

一瞬自分の耳を疑います。
そしてドキドキしながら間違いであってくれ!と思いながら再度針を落とす。
「・・・。」
だめだ。また同じ所で・・・。

      あああああ”あ”。まさかの針飛び (号泣)

・・・いやいや待てよ俺。落ち着け俺。
もしかしたら たまたまかも。もしくは なんとかなるかも!

そうなんです。
なんとかなる場合もあるんです! でも なんとかならない場合もあるんです。笑

今回はそんなレコードの針飛びについて、色々な原因と対応方法について触れてみようとおもいます。
※持論もありますのでその旨もご了承のうえお読みください。

なせ針飛びするのか?

データをレーザー光で読み取るCDとは違い、レコードは掘られた溝に針を通らせてその振動を拾うことで音が鳴ります。
その通るべき溝に、キズによって進路が変わる、もしくは付着した小さなゴミや大きなプレスミスによって針が飛んでしまう(浮いてしまう)と、音が飛んで聴こえてしまう。
すなわち針飛びと言われる状態になるわけです。
※プレスミスとはレコードを製造する段階で何等かの理由で レコードにニキビのような or ゴミが入っているような凹凸の凸こと。

電車の線路に置き換えればわかりやすいのかもしれません。
本来進べき線路の道筋に キズという障害で違う線路が現れてそちらへ進んでしまう。
もしくは線路上の目の前に障害物(付着した小さなゴミ、大きなプレスミス、強めな盤反り箇所、など)が現れて、勢いあまってジャンプしてしまう。こんな感じでしょうか。

ちなみに音飛びにもパターンがあり、それぞれ呼び名があります。(呼び名にも色々ありますが一般的な言葉だと思うのを)

例えば、キズによって溝の行き先が変わってしまい、外側(縁側)にキズが流れるとまた元の音に戻る。
それにより決まった箇所で延々と戻ってしまう無限ループ状態になる針飛び、これが通称「ループ」です。

あるいは、深いキズや付着ゴミやプレスミスで針が浮いてしまい、一瞬音が飛んで進んでいく。
もしくはレコードの内側へとキズが流れていることにより、曲が先に(少しだけシュンと)進んでしまう現象を「スキップ」と呼びます。

※へたくそな絵ですみません 笑
そして、最初に触れたように音飛びの状態やレベルによっては「なんとかなる」場合もあります。
そこで「なんとかする」方法を以下から提案していくので、もし宜しければ試してみてください。

原因①: レコードについた汚れ

針が障害物で浮いて針飛びしてしまう「スキップ」の状態について。
その障害物が付着物や汚れの場合があります。
見た目で分かるような小さなゴミだったら指でコリっと取れる場合もあるでしょう。
とはいえ溝上は綺麗でないと針がうまく通って行きません。


直し方①:レコードを掃除する

目に見える小さな付着ゴミやホコリなら簡単ですが、目視で確認できないレベルで溝の奥にホコリが…という可能性もあるので、まずはクリーナーや洗浄機などを使って掃除をしましょう。
これは針飛びに関係なく、レコードを扱う上では大事なことですね。

原因②:針圧が軽い

レコードの針というのは溝にガッツリはめて擦りながら走るのではなく、あくまでも振動を拾うぐらいのギリギリ触れる設定にする必要があるため れぞれの針の重さによって適正な設定が必要です
(針圧調整がないプレーヤーは設定不要でそのまま再生できるように調整されています)

購入した時に針圧を調整しているはずですが、その針圧が合っていなかったり軽かったりするとチョットしたキズや付着ゴミで針飛び「スキップ」する場合があるのです。


直し方②:針圧調整をする 

針圧調整の機能のないプレーヤーはこの対応ができませんが、もし針圧調整のできるプレーヤーであれば針圧を重くすることで飛び難くする事が可能です。
ただし、注意点がありまして、針圧を重くすると摩擦がその分だけ加わるので、針は傷みやすくなりますし、レコードの溝の方も傷つけてノイズが出る盤になってしまうケースがあるので判断と覚悟が必要です。
調整に臨む際はいきなり重く設定するのではなく、まずは通常設定よりも0.5~1gぐらい重く設定してみましょう。

そして針圧調整だけではなく、「アンチスケーティング」という、針が溝沿いではなく横にサーッとスライドしないよう横揺れを調整するダイヤルがあると思うので、こちらの調整も改めて確認してみてください。
アンチスケーティングの設定がしっかりしてないと、横揺れしやすい=針飛びしやすい状態になっている可能性もゼロとは言い切れません。

それから、基本に立ち返ってプレーヤーがちゃんと平らに設置されているかについても再確認を。
少しでも斜めになっている状態で針圧調整しても、それは適正な状態ではありません。
一つ一つ、確認確認でいきましょう。

原因③:針が消耗している  針にホコリが付いている

針というのは消耗品です。
車のタイヤも走りすぎると溝がなくなってツルツル滑ってしまうように、針も摩擦で先端が消耗し弱くなってきます。
そうなるとやはり綺麗に音も拾えないでしょうから、再生音にも影響するでしょう。
針の寿命は商品によって違いますが、だいたい150~500時間といわれています。
現在までに自分の針をどれくらい使っているのか、再生した時間を理解することも必要なのです。

あと、レコードから取り出すと静電気の影響でホコリを吸い込むので、盤がホコリだらけだったりすることってありますよね。
もちろんホコリをとってから再生するのが筋ですが、仮にその状態でレコードを再生すると針が除雪機のようにホコリをどんどん取っちゃいます。
そうすると…よーく見てください。針の先端にホコリが堪って白い山のようになっているはずです。
そんな状態で再生したら、盤に障害物があるどころか針自体に障害物が付いたまま再生するわけですから、もちろん正常に走れるわけがないですよね。
しかもホコリのついたまま使っていると盤自体にもキズを増やしてしまうかもしれませんよ。

針飛びする・しないに関わらず針の使用頻度を気にしてみたり、針の先端にホコリが堪っていないかも定期的に確認するのも大事だと思いました。


直し方③:針を交換する 

結構使っているな、明らかに年々も変えずに使っているな、と思うなら交換することもオススメします。これは針飛びに限らずです。

このタイミングで針も少し重めの商品に変えてみるのもありかも。
針の交換って驚くほど音が変わることもあるので重い針にすることで音にも影響あるでしょうし、それが好みの音だったら なお良しですよね。

原因④:レコードについたキズ

見た目で明らかにわかるケースも多いですが、針飛びの要因ナンバー1は「深いキズ」です。
キズによって溝の進路が変わってしまう音飛びの状態は結構スタンダートでありながらも重症です。
スレや浅いキズの場合は溝の道筋を変えるほど深くないので針が通るたびに「バリッ!」「バチッ!」とノイズが入るレベルかと思います。
針飛びするレベルの深いキズの特徴としては、白っぽく見えたり 指で触れても引っかかる感触があると思いますよ。

さて、これに関してはキズの深さによって対応が分かれます。

もしキズが浅い場合。
その箇所を見つけて何度も針を行ったり来たりと繰り返す。(DJ対応プレーヤーであれば逆走させたりして)
そうすることによって「本来進べき溝はこちらですよ」と思い出させる感じ、つまり癖をつけ直す感じです。
ただこれは直る可能性は低めです 笑

ではどうすればいいのでしょう?
「溝を直す」
になるわけです。



直し方④:つまようじ でなでる 

盤のキズを直すのは盤を手術するようなものです。
直すのもカナリ経験がいりますし、器用さも影響します。たぶん読んでる方が思っている以上に難しいので失敗する可能性も高いです。
なので正直オススメはしません。むしろ裏技的に捉えてもたったほうがよいかも 笑
ただコラム上、直す方法のひとつとして説明しますね。

まず準備するものは以下の3点。
①つまようじ (もしくは待ち針) 
②小型ルーペ
③付箋 もしくは目印シール 



つまようじ ではなく上級者になると待ち針で行う方もいますが、まずは つまようじ から。
ルーペは高額の物じゃなくてもよいですが、持ちやすいよう小型の物がよいかと。ライト付きや別途ライトがあるとベスト。
付箋も目印シールも粘着力が強いと剥がすときに盤を痛めますので、一旦肌に触れさせてそっと貼るなりしましょう。目印としてわかればよいので。

音飛びする箇所を見つけて 付箋か目印シールを そっと置くように & わかるように軽く貼ります。

ルーペを使いキズの箇所を確認。見えづらければライトを使うのもよいでしょう。

おそらくですがキズが斜めに入っているか、踏切のように横へ横断して入っていると思われるので、本来あるべき溝に沿って 針が進む方向から コリコリと 最初は優しく つまようじ でなぞります。それでも駄目な場合は少しづつコリコリを強めながら直るまで何度か行います。

ここがポイントで、なぞる強さが重要 です。
強すぎると溝が広がりすぎて針飛びは治まっても通るたび大きなノイズが入るようになる場合もあります。ああ怖い。
コリコリする方向も針が進む方からではなく反対側からコリコリしてしまうと逆効果になるので注意です。
待ち針は深く削りやすいので慣れれば直る確率が高くなりますが、あくまでも上級者なので つまようじ に慣れたら次のステップでと考えましょうか。
(自分は つまようじ ではなかなか直らず待ち針を使う方が多いかも。ただその分リスクが高くなります。ハイリスク・ハイリターンです)

さきほど伝えたとおり根本的に慣れないとこの作業は失敗する可能性がカナリ高いので 自己責任 でお願いします 笑
ダメ元で行うなり、本命盤ではない盤で何度が実戦を積んでから本命盤に挑むなり。何事も経験と慣れが必要ですからね。
ちなみに自分の成功率はいまのところ30%ぐらい、不器用で経験不足なのかほぼ失敗です。 泣笑
もし頼まれても責任が持てないので絶対やりたくないです。笑 
背水の陣の気持ちで挑んでください。

原因⑤:大きめのプレスミス

冒頭のほうで触れたプレスミス。レコード盤の外ではなくレコードの中に直接ゴミが入ったように膨らんでいる状態です。(中には劣化によって盤がボコっと膨らんでプレスミスになる盤もあります)

プレスミスの場合は、そもそもプレスミスの上に溝が掘られているので、針飛びせず通るたびに(音の大小はありますが)「ボクッ」「モコッ」と籠ったノイズだけで済むレベルがほとんどです。
ただし大きなプレスミスの場合、針圧調整やアンチスケーティングの調整がうまくいってないと針飛びするケースがありますので、その際は改めて目盛りを調整したり、針を重めの物に交換すれば直る場合が多いと思います。
大体のお店では見落としがない限り「プレスミス」と表記していると思うので、もし記載があった場合は買う前に検盤か試聴することをオススメします。

原因⑥:盤の反り

レコードというのは長時間重ねて積み上げられたり、長年斜めになっていたり、直射日光の当たるところに保管したりすると反る場合があります。
※詳しくは以前のコラムでレコードの適切な保管方法と反り防止についてコラムを書いているのでそちらをご確認ください。 こちらをクリック

その反り方にもよりますが、全体がお椀にのように緩やかな反りであれば針飛びはしにくいです。
が、レコードの縁部分に多いのですが部分的に一ヶ所だけポコッと反っているときがあります。
この場合はジャンプ台のような状態になり一瞬ジャンプ、すなわち「スキップ」で針飛びする場合があるのです。

針圧調整で改善を試みるというのも有りなんですが、あまり効果のない場合もあるので、駄目なら思い切って反り直し機(ディスクフラッター)を購入するという解決方法もありかもしれません。
もちろん反りによっては反り直し機でもまったく直らないケースもあるので、必ず直るとは保証できませんが一つの解決方法として頭に入れておくのもいいと思います。

まとめ

色々と触れてみましたが、針圧の調整や掃除でも駄目だった場合、つまようじや待ち針で盤を修正する前に
まずは「お店に返品」。これがスムーズだと思います。
ただし返品でもお店によってはルール(返品可能かどうか事前に電話やネットで確認が必要など)があるかと思いますので、一度お店へ相談してみましょう。
(基本的には購入者がつまようじなどで盤に手を加えてしまうと返品できなくなると思うので注意。なお大体のお店はレシート持参で1週間以内が多いと思われます)


いかかだったでしょうか。
まさかの針飛びは予想していなかった事故みたいなもの。その対処方法を知ることで絶望から僅かな希望が見えますし、ケース・バイ・ケースに少しでも冷静に対応できればいいですよね。
最後までご愛読いただき、ありがとうございました。